梁塵秘抄
―平安後期の今様を集めた歌謡集―
平安末期の歌謡集。後白河院撰。巻一残簡・巻二、および口伝集巻一・巻一〇が現存。
もとは歌詞10巻・口伝集10巻であったらしい。治承三年(1179)~文治元年(1185)ごろまでの間に成立。
平安末期に流行した今様・催馬楽・神楽などの歌謡を分類集成したもの。現存本には法文歌・神楽歌などの今様五百数十編が収められている、当時の風俗・信仰などを知る貴重な資料。
仏は常に在せども 現ならぬぞあはれなる
人の音せぬ暁に 仄かに夢に見えたまふ(26)
鵜飼はいとをしや
万劫年経る亀殺し 又鵜の頸を結ひ
現世は斯くてもありぬべし 後生我が身を如何にせん(355)
遊びをせんとや生れけむ 戯れせんとや生れけん
遊ぶ子供の声聞けば 我が身さへこそ動がるれ(359)
我が子は十余に成りぬらん 巫してこそ歩くなれ
田子の浦に汐踏むと 如何に海人集ふらん
まだしとて 問ひみ問はずみ嬲るらん いとをしや(364)
我が子は二十に成りぬらん 博打してこそ歩くなれ
国々の博党に さすがに子なれば憎かなし
負かいたまふな 王子の住吉西の宮(365)
遊女の好むもの 雑芸 鼓 小端舟
簦翳し 艫取女 男の愛祈る百大夫(380)
女の盛りなるは 十四五六歳廿三四とか
三十四五にし成りぬれば 紅葉の下葉に異ならず(394)
舞へ舞へ蝸牛 舞はぬものならば
馬の子や牛の子に 蹴ゑさせてん 踏み破らせてん
真に美しく舞うたらば 華の園まで遊ばせん(408)
頭に遊ぶは頭虱 項の窪をぞ極めて食ふ
櫛の歯より天降る 麻小笥の蓋にて命終はる(410)
いざれ独楽 鳥羽の城南寺の祭り見に
我は罷らじ恐ろしや 懲り果てぬ
作り道や四塚に あせる上馬の多かるに(439)
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