日本霊異記
―我が国最古の仏教説話集―
仏教説話集。三巻。薬師寺の僧景戒著。
「ニホンレイイキ」とも読む。正しくは『日本国現報善悪霊異記』。
弘仁十四(823)年前後に成立。雄略朝から嵯峨朝までの説話116篇を、ほぼ年代順に漢文体で記述。
主として仏教の因果応報の原理が説かれている。わが国最古の説話集。霊異記。
昔、故き京の時に、一の愚人有りき。因果を信けず。僧の食を乞ふを見て、忿りて撃たむと欲ふ。
時に、僧、田の水に走り入る。追ひて執ふ。僧、忍ぶること得ずして、咒縛す。愚人顛沛れ、東西に狂ひ走る。僧、即ち遠く去り、眄瞻ること得ず。
其の人に二の子有り。父の縛を解かむと欲ひ、便ち僧の房に詣りて、禅師を勧請す。禅師、其の状を問ひ知りて、行き肯にす。二の子、懃に重ねて拝み敬ひ、父の厄を救はむことを請ふ。
其の師、乃ち徐に行き、観音品の初段を誦し竟れば、即ち解脱すること得たり。然して後に、乃ち信心を発し、邪を廻らして正に入りき。(悪人、乞食の僧を逼して、現に悪報を得し縁 第十五)
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関連リンク
- 日本国現報善悪霊異記(ウィキペディア)
- 景戒(ウィキペディア)