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げんろく
―西郷隆盛が座右の書とした佐藤一斎の修養書―

江戸後期の儒学者佐藤一斎(1772~1859)の随筆。

『言志録』『言志後録』『言志晩録』『言志耋録てつろく』の四書を合して『言志四録』という。
『言志晩録』の中に出てくる次の言葉がとくに有名である。

しょうにして学べば、すなわそうにしてすこと有り。
壮にして学べば、則ち老いておとろえず。
老いて学べば、則ち死してちず。

この言葉は『近思録』の「学ばざれば、則ち老いておとろう(不学便老而衰)」を元にしたものと思われる。

西郷隆盛は『言志四録』から101か条を抄出して座右の銘とした(『手抄言志録』)。

みずかむることげんなる者は、人を責むるもまた厳なり。人をじょすることかんなる者は、自ら恕することもまた寛なり。みなぺんたるをまぬがれず。君子は則ち自らあつうして、薄く人をむ。(言志録)

春風しゅんぷうもって人に接し、秋霜しゅうそうを以てみずかつつしむ。(言志後録)

へいむるの説は、必ずへいしょうず。まさがくおのれの為にするを知るべし。学はおのれの為にするを知る者は、必ずこれおのれに求む。心学しんがくなり。力をる処に至れば、則ちよろしく其の自得する所ににんずべし。小異しょうい有りといえども、大同だいどうがいせず。(言志後録)

我れはまさに人の長処ちょうしょるべし。人の短処たんしょを視ることなかれ。短処を視れば、則ち我れ彼れにまさり、我れにおいえき無し。長処を視れば、則ち彼れ我れにまさり、我れにおいえき有り。(言志晩録)

みずかあざむかず。れを天につかうとう。(言志耋録)

人はすべからく忙裏ぼうりかんめ、苦中にらくそんする工夫をくすべし。(言志耋録)