歎異抄
―浄土真宗の開祖・親鸞の言行録―
鎌倉時代の仏書。一巻。成立年代未詳。
著者を親鸞の弟子唯円とする説がほぼ定説。
他力本願の真意を伝える親鸞のことばを掲げ、これをもとに、親鸞没後生じてきた異義を批判して、親鸞の正意を示そうとしたもの。
「善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや」の悪人正機説がとくに有名。
「たんいしょう」とも。
たとい法然聖人にすかされまひらせて、念仏して地獄におちたりとも、さらに後悔すべからずさふらふ。(第二条)
いづれの行もをよびがたき身なれば、とても地獄は一定すみかぞかし。(第二条)
善人なをもて往生をとぐ、いはんや悪人をや。(第三条)
今生に、いかにいとをし、不便とおもふとも、存知のごとくたすけがたければ、この慈悲始終なし。(第四条)
親鸞は、父母の孝養のためとて、一返にても念仏まうしたること、いまださふらはず。(第五条)
親鸞は弟子一人ももたずさふらふ。(第六条)
念仏者は無碍の一道なり。(第七条)
なごりおしくおもへども、娑婆の縁つきて、ちからなくしてをはるときに、かの土へはまいるべきなり。(第九条)
弥陀の五劫思惟の願をよくよく案ずれば、ひとへに親鸞一人がためなりけり。(結語)
善悪のふたつ、総じてもて存知せざるなり。(結語)
煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろづのこと、みなもてそらごと、たわごと、まことあることなきに、たゞ念仏のみぞまことにておはします。(結語)
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