タテ社会の人間関係
―日本社会の人間関係を解明した名著―
中根千枝(1926~)著。
昭和42年(1967)講談社刊。
社会人類学の手法をもちいて日本の社会構造を分析したもの。この本から「タテ社会」という言葉が普及した。
日本社会の人間関係は基本的には「タテ」の上下関係であるということ、また、個人はひとつの集団に所属が余儀なくされること、「ヨコ」の関係とは「タテ」の関係にもとづいての派生的関係にしかすぎない、等が詳細に分析されている。
なお、これらは日本社会の特質ではなく、単一社会の理論であるとしている。
日本人の場合、同じ集団に属していてさえも、物理的に遠隔の場にたつということはマイナスを招くことが多い。
今まで東京に仕事の場をもっていた者にとって、東京を離れるということは、地理的に東京を離れるということのみでなく、仲間から社会的に遠くなるという悲哀をもつものである。
「去る者は日々に疎し」とは、まったく日本的な人間関係を象徴しており、「水盃」のもつ悲壮感はここから生まれる。
社会生活をする個人にとって頼りになる者は、同じ仕事の仲間であり、日々実際に接触している人々である。(象徴的なことば「去る者は日々に疎し」)
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関連リンク
- 中根千枝(ウィキペディア)