三酔人経綸問答
―中江兆民のユニークな政治思想書―
中江兆民(1847~1901)著。明治20年(1887)集成社刊。
洋学紳士、豪傑君、南海先生の3人の男が酒を酌み交わしながら、日本の進路について議論を重ねるという構成。
洋学紳士は民主化と非武装平和論を説き、豪傑君は軍備拡張、大陸侵略を主張。南海先生は平和外交と防衛本位の国民軍構想、立憲制から民主制への漸進的改革を唱える。
日本の近代化過程全般を見通しうる政治理論書として最高傑作の一つ。
南海先生は生まれつき酒が大好き、また政治を論ずることが大好きである。酒をのむとなると、わずか一、二本のときは気持ちよく酔っぱらい、気分もふうわりと、宇宙を飛びまわるようで、見るもの聞くもの楽しくて、この世に憂いなどというものがあろうとは、つゆ思われない。(桑原武夫・島田虔次訳)
剣をふるって風を斬れば、剣がいかに鋭くても、ふうわりとした風はどうにもならない。私たちは風になろうではありませんか。(桑原武夫・島田虔次訳)
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