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復興期ふっこうき精神せいしん
―花田清輝の代表的評論集―

花田清輝きよてる(1909~74)の評論集。
昭和21年(1946)刊。

奇抜なレトリックと弁証法を駆使して、西欧ルネッサンス期を生きた人物が取り上げている。

取り上げられたのは、ダンテ、レオナルド、マキャヴェリ、コペルニクス、ジョット、ゴッホ、ゴーガン、コロンブス、ポー、ガロア、スウィフト、ルター、アンデルセン、モーア、カルヴァン、スピノザ、セルバンテス、ソフォフレス、ルイ十一世、ヴィヨン、ゲーテ、アリストファネスの22人である。

ルネッサンスについて語りながらも、戦時下の日本の現実の姿を浮彫りにし、転形期にいかに生きるか、ということを論じている。

 ルネッサンスという言葉が、語源的には、フランス語の‘renaîtreルネートル’からきており、「再生」を意味するということは、周知のとおりだ。

したがって、我々はルネッサンスを、つねに生との関連において考えるように習慣づけられており、この言葉とともに、中世の闇のなかから浮びあがってきた、明るい、生命にみちあふれた一世界の姿を心に描く。

しかし、再生が再生であるかぎり、必然にそれは死を通過している筈であり、ルネッサンスの正体を把握するためには、我々は、これを死との関連においてもう一度見なおしてみる必要があるのではなかろうか。

ギリシア的なものの復興は、こういう手つづきを経て、はじめて了解されるのではあるまいか。ルネッサンスの偉人たちの残したさまざまな業蹟は、はたして生の観念のみによって支えられた、かれらの悠々たる心境の産物であったであろうか。(球面三角――ポー)